19年度事業報告

公衆衛生学会報告

健康危機管理時の栄養・食生活支援体制整備における保健所管理栄養士の課題 第5報

○澤口眞規子 本田栄子2 伊藤佳代子3 岩田信子4 濱口優子5 松永照子6 梶 忍 7 杉田弘子8  

1岩手県奥州保 2熊本県大 3山形県村山保 4岐阜県健康政策課 5石川県子育て支援課 6兵庫県健康増進課 7世田谷区健康づくり課 8新潟県上越保

はじめに

「地域における健康危機管理等の基本的な指針」(123)を受け、保健所は地域保健の広域的拠点として健康危機管理マニュアルを策定しているが、“生命と健康をまもる栄養・食生活支援”に関する検討の例は少ない。本研究は、被災地現地調査をもとに住民の健康保持増進が可能となる食事提供方法、地域連携、団体活用等について検討し、ガイドラインとして全国に情報発信し、保健所管理栄養士の専門機能の強化を図ったので報告する。


内  容


  1. 大規模被災地の現地調査結果:@慢性疾患の悪化、アレルギー疾患等により「普通の食事が食べられない住民が予想以上に多く、管理栄養士による栄養管理、食事形態の調整が必要である。A入所施設(病院、福祉施設等)の食支援協定、人材派遣等の連携体制が重要である。B本庁は災害対策の指令拠点として栄養改善対策部会を立上げ、コンビニ、大手食品産業との協定を締結する必要がある。
  2. ガイドライン作成において特に検討した内容:@平常時、災害時、復興時に保健所及び本庁管理栄養士が迅速つ効果的な対応をするための方策、具体を示した。A市町村は、特別な食生活支援が必要な住民情報の集約、健康相談記録等の整備、災害発生時の食事提供体制、協力可能なボランティア等の確保等、住民に直接的な栄養支援が中心となる。B特定給食施設は、備蓄食品確保、対応マニュアル整備の他、施設が地域避難所になることも想定した準備が求められる。C「普通の食事が食べられない」住民の支援策として、考慮しておきたい一般的な食事制限の例、栄養指導の内容、食事支援の体制整備提案を盛り込んだ

まとめと考察

 
  1. 被災地現地調査により、住民の生命と健康をまもるために事前に行なうべき保健所、本庁の役割、市町村との機能分担、給食施設や関係団体との連携協働等、災害時を想定した栄養・食生活の整備の必要性が明らかになった。
  2. これらの体制整備を図るためには、保健所管理栄養士の日頃からの公衆衛生専門技術職員としての能力と感性が重要であり、エンパワーメントを高める必要がある。
  3. 被災地で困却した問題として救援給食施設の栄養士等の人材確保がある。国レベルの災害派遣団及び都道府県間の支援協定の中に保健所管理栄養士等の食生活支援マンパワーを組み入れるよう要望したい。

今後の計画

 
  1. 今年度は全国に発信したガイドラインの実証を行なう予定である。
  2. 全国の保健所管理栄養士のネットワークを構築することで有効な情報を共有し、危機管理対策と政策能力向上のツールとしたい。




健康危機管理時の栄養・食生活支援体制整備における保健所管理栄養士の課題 第6報

濱口優子 本田栄子2 伊藤佳代子3 岩田信子4 澤口眞規子5 松永照子6 梶 忍 7 杉田弘子8

1石川県子育て支援課 2熊本県大 3山形県村山保 4岐阜県健康政策課 5岩手県奥州保 6兵庫県健康増進課 7世田谷区健康づくり課 8新潟県上越保

 

はじめに

全国調査結果から保健所危機管理対策の中で食・栄養の視点は少なく、その構築のための保健所管理栄養士の役割は重要であり、危機管理対策についての高い意識を持ち、コーディネート能力を発揮した日常業務での調整が求められる。このため、健康危機管理時の食生活支援体制の確立と公衆栄養行政の円滑な推進を図るため、保健所管理栄養士を対象とした政策能力向上シンポジウムを開催した。

 

内容

全国の保健所から120名の参加を得て開催。(1)基調講演「医療制度改革における保健所管理栄養士への期待」により、健康危機管理対策を含め、保健所管理栄養士に求められる機能等について示唆を得た。 (2)パネルディスカッション「健康危機管理時の公衆栄養活動」として次の3事例を紹介し討議@「新潟県中越大震災における保健所管理栄養士の活動」(新潟県)A「震災時の主な活動〜給食施設における相互支援ネットワークの構築〜」(兵庫県)B「災害時危機管理時の食生活支援体制の現状とガイドブックの活用」(東京都)。具体的事例により災害時対策のイメージ作りができた。(3)情報交換として、保健所管理栄養士の全国的な情報共有体制整備のためのネットワーク構築、組織化について検討した。

 

まとめと考察

(1)健康危機管理の具体的なイメージ作りと知識を得たことで、食支援体制を構築することは保健所管理栄養士の戦術になることが理解され、災害時対策への意識づけができた。(2)参加者の本研修に寄せる期待感は大きくエンパワーメントができた者は82%で大きな成果としたい。(3)今年度は第5報で報告したガイドラインの活用を踏まえたシンポジウム開催と保健所における健康危機管理時の食生活支援体制の整備を推進していきたい。



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