18年度事業報告

公衆衛生学会報告

「健康危機管理時の食生活支援体制整備における保健所管理栄養士の課題」(第1報)

〇濱口優子1  澤口眞規子2  伊藤佳代子3  岩田信子4  梶 忍5  小西治子6  本田栄子7  松永照子8  澁谷いづみ9  

1石川県子ども政策課 2岩手県奥州保 3山形県村山保 4岐阜県健康政策課 5東京都世田谷保 6北九州市教育委員会 7熊本県立大 8兵庫県健康増進課 9愛知県半田保健所

はじめに

近年頻発する自然災害を初めとする健康危機管理への対応が緊急課題となっている昨今、平常時からの健康被害の未然防止対策や健康危機発生時の適切かつ迅速な対応が保健所に求められている。中でも安全かつ健康を保つ食事を確保するための食生活支援体制の構築は、保健所管理栄養士に求められる重要課題である。そこで、健康危機管理時の食生活支援体制のあり方を検討するため、保健所における健康危機管理計画等作成状況や食生活支援体制の検討状況等の実態と、保健所管理栄養士の役割、政策能力に関する保健所管理栄養士の意識等について全国調査を実施した。

調査経過

  1. 対象:全都道府県及び政令市・中核市・特別区の保健所管理栄養士
  2. 時期:平成17年10月〜11月
  3. 方法:郵送による自記式回答(回収数469、回収率85.7%)

結果概要

  1. 「健康危機管理計画」等を策定又は検討している72.5%の保健所のうち、「食生活支援体制」を含んで検討しているのは15.6%であった。
  2. 特定給食施設に対する危機管理指導については大半が指導しているが、34.8%が指導していないとしている。
  3. 危機管理発生時の協力可能団体は32.9%の保健所が把握しているが、疾患による特別な栄養管理が必要な住民の食支援担当を検討しているのは19.2%に止まっている。
  4. 健康危機管理時における保健所管理栄養士の役割として捉えているのは、「食生活支援計画・対応マニュアルの作成」が最も多く73.1%、求められる能力は、「企画立案・事業計画作成」「地域診断・モニタリング・調査結果分析」「情報収集・分析」「地域コーディネート」を7割以上の回答者が挙げている。
  5. 健康危機管理の食生活支援に関する欲しい情報、要望等については、先進地事例等の情報を求める意見が多く寄せられた。

まとめと考察

  1. 健康危機管理時の食生活支援体制について検討している保健所は少なく、特定給食施設への危機管理指導も十分とは言えない現状である。
  2. 保健所管理栄養士の役割として、企画立案・地域診断・情報収集・分析・地域コーディネート力等を高め、計画策定等に関わりながら、健康危機管理時の食生活支援体制を整備していくことが必要であると考えており、先進地事例等の情報を望んでいることがわかった。
  3. 本研究では各保健所管理栄養士がその役割を担う上で必要な情報の収集・検討を行いガイドラインとして情報共有し、健康危機管理時の食生活支援体制の整備を推進していきたい。



「健康危機管理時の食生活支援体制整備における保健所管理栄養士の課題」(第2報)

〇岩田信子1  澤口眞規子2  伊藤佳代子3  梶 忍4  小西治子5  濱口優子6  本田栄子7  松永照子8  澁谷いづみ9

1岐阜県健康福祉政策課  2岩手県奥州保  3山形県村山保  4東京都世田谷保 5北九州市教育委員会 6石川県子ども政策課  7熊本県立大  8兵庫県健康増進課  9愛知県半田保

 

はじめに

平成17年度に実施した「健康危機管理時の食生活支援体制等の実態調査」結果から保健所等健康危機管理対策の中で食・栄養の視点は少なく、その構築のため保健所管理栄養士の役割は重要であり、日常業務の中で健康危機管理の視点を持ち、行政能力を発揮できるようにすることが課題である(第1報にて報告)。このため、健康危機管理時の食生活支援体制の確立と公衆栄養行政の円滑な推進を図るため、保健所管理栄養士を対象とした政策能力向上シンポジウムを開催した。

 

内容

全国の保健所から130名の参加を得て開催。

  1. 「健康危機管理対策における保健所管理栄養士への期待」として全国保健所長会澁谷副会長から基調講演を受けた。
  2. 「保健所管理栄養士の政策能力向上」をテーマに地域保健専門技術職として行政能力を発揮した企画及び事業展開として、「地域における行政栄養士の業務について(H15.10厚労省通知)」の各項目を保健所で具体的に展開し、取組でいる6事例を報告、特に「危機管理時の食生活支援対策の実践」事例は、全国的に今後優先課題として取組む中での貴重な事例であった。
  3. 保健所管理栄養士の政策能力向上のためには全国的な情報共有の体制が必要であり、かねてから懸案の全国保健所管理栄養士情報ネットワークの構築、組織化について情報交換の場を設け、参加者からの賛同を得た。

 

まとめと考察

  1. 保健所が健康危機管理の拠点であり、その中で食支援体制を構築することは保健所管理栄養士の今後の戦略になると捉えられる。
  2. 参加者の本シンポジウムによせる期待感は大きく、エンパワーが得られたと回答したものは82%であった。
  3. 今年度は、保健所管理栄養士の健康危機管理マネジメントについて検討し、汎用しやすいガイドライン作成を図っており、それを受けてのシンポジウム開催と保健所における健康危機管理時の食生活支援体制の整備を推進していきたい。
  4. さらに、基盤整備として全国的な情報ネットワークの構築を実現させ、政策能力向上に結びつけていきたいと考える。


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